A君とH君
いろんな生徒はいますが、冬休み前の話。
部活の生徒が「もう、ほんと無理です」と大分余裕のない感じで訴えてきた。
その生徒は、おっちょこちょいでムードメーカー、思ったことをすぐに口から出ちゃうような、軽く他動症のタイプ(以下、H君)。
訴えてきたことは、「同じ部活のメンバーの言動にストレスが溜まりすぎている」だった。
そのメンバーとは、いわゆる空気が読めないタイプで、H君と他の人が喋っていたりすると横から口を挟む、とんちんかんな事を言う、などアスペルガー症と思われる生徒(以下、A君)。
H君はA君の言動に関して夏休み前くらいから我慢してきたものの、もう我慢できないという。
私もA君の言動にH君がいらっとしていることは知っていたけど、特になにも言わずにH君の我慢や成長に任せていた。
が、さすがにH君が直訴するくらいなので、よっぽどストレスが溜まっているので、間に入ることにした。
H君に対しては「そういう人もいるのだから距離をとって、イライラが減るようにしよう」と言っていたが、そんな話をしている最中にA君が横から「お前、それくらい我慢しろよー」とか言ってきた。
で、「そーゆーとこなんだよ!!」と、さらにH君の怒りのボルテージ上がる。
……しょうがない。
直接A君に説明するか……手間がかかるのでやりたくなかったが……
ということで、A君に一から説明。
H君と私が会話しているときに横から入ると、H君は不快な思いをしていること。
A君は不快な思いをしていなくとも、他の人が不快な思いをしている時があること。
これ以上簡単には説明できないというくらい渾身の力を振り絞って、噛み砕いて説明。
が、A君は言った。
「よくわからないです」。
……うん、そうだよね……。それは想定内。
てゆーか、言われてわかるくらいなら空気読めてるから。
やはりアスペルガータイプの人は「他人の感情」に疎いので、「他人がどう思っているか」を言ってもダメだよね……
で、ここで諦めると今度はH君が爆発しそうなので「えー、なんでだめなんですか?」、というA君相手に粘った。
「えー、よくわかんないです」というA君の言葉に「うん、そうだよね。そうなんだけど……」とほんとに粘った。
どうすれば伝わるか?
どうすればA君の行動が変わるか?
そんなことを考えながら3人で話をしながら、最終的には「H君と誰かが喋っているときは入らない(直接呼び掛けられた場合は入ってよい)」ということに落ち着いた。
は、いいんですが話のなかでA君に「自分の言動で他人を不快にさせている」という自覚をしてもらうために、「君の言動でH君は嫌な思いをしている」ということを何回か言った。
どれくらい伝わったか分からないが……
てな感じで寒い廊下で一時間話をし、部活動も冬休みに突入。
ほんと寒かった。
A君に冬休み中になんかあったら私はYahooニュースで報道され叩かれまくる、不祥事教員になるんだろうなーと、そんなことを思いながらの冬休みだった。
休みが明けて、無事にA君は学校に来ている。
やれやれ。まずは一安心。
「発達障害の生徒に配慮しましょう」と上から言われるが、現場では今回みたいな「どっちも発達障害」みたいな件も多い。
なかなか難しいなあ。